三角比(sin cos tan)の値の覚え方 その2(三角定規と筆記体)

前回の授業はこちら

三角比(sin cos tan)の値の覚え方 その1(表)

 

〜ある日の授業〜

今日は初心に戻って、三角比の値を三角定規を使って覚えましょう。

三角定規の辺の比は覚えていますか?

もちろんだぜ!

30°、60°、90°の直角三角形では「1:√3:2」
45°、45°、90°の直角三角形では「1:1:√2」
だったよな!

「1:2:√3」は異教徒だから滅せよって中学の頃の先生は言ってたが、先生は俺に滅される側の人間か?

数学教員間の指導上の確執をたろうさんが知っているのはさておき、中学までの学習を覚えているようで何よりです。

それでは今回は「1:2:√3」の三角定規を使って三角比を学びましょう。

おいおい異教徒、覚悟はできてるんだろうなぁ!?

三角定規と筆記体を使った三角比の覚え方

三角定規での値の覚え方は筆記体を使います。

筆記体は2002年に中学校において学習指導要領から外されていますので、知らない人も多いかと思います。

まずは筆記体の紹介からいきましょう。

 

sとcとtの筆記体

筆記体とは、速く書くのに適した形をしたものです。

例えば今回使うsin,cos,tanの頭文字たちは次のようになっています。

sのように、もとのアルファベットとかけ離れた形になるものもあります。

前のアルファベットとの接続の都合か、全体的に左下から書き始めて右上に跳ねる傾向がありますね。

筆記体をまとめているサイトがあるので、興味がある人は調べてみるといいかもしれません。

ちなみに、平成2002年の学習指導要領で今ではお馴染みの「総合的な学習の時間」が新設されました。

学校の授業もどんどん変わっていきますね。

 

三角定規に筆記体を当てはめる

直角三角形での三角比の覚え方とは、直角が右下に来るように直角三角形を動かした後

筆記体「s」を当てはめることでsinを求め、

筆記体「c」を当てはめることでcosを求め、

筆記体「t」を当てはめることでtanを求める方法です。

実際に見ていきましょう。

 

最初に「s」です。

まず、直角が右下に来るように三角形を動かし、その後筆記体「s」を当ててみます。

すると、長さの比が2と1の部分が当てはまりますので、「sin30°=1/2」という値が出てきます。

 

次に「c」です。

すると、長さの比が2と√3の部分が当てはまりますので、「cos30°=√3/2」という値が出てきます。

 

最後に「t」です。

すると、長さの比が√3と1の部分が当てはまりますので、「tan30°=1/√3」という値が出てきます。

少し強引な部分もあるかと思いますが、古から伝わる覚えやすい方法です。

今回は30°でやりましたが、クルッと回して60°でも使えますし、もちろん直角二等辺三角形のときも使えますよ。

この方法を覚えておくといい理由

おい先生!

やり方はわかったけど、どうしてこんな回りくどい方法使わないといけないんだよ!

前回の表でいいじゃん!

いえ、確かによく使う30°、45°、60°の三角比を覚えるだけなら、前回の表の方が覚えやすいという人も多いかもしれません。

しかし、この筆記体を使った覚え方は、別に角度が30°、45°、60°じゃなくても使えることに気づきましたか?

あっ! 確かに、辺の長さが分かっていたら同じように三角比を求められる……!

もしかして15°とか22.5°とか75°とかの三角比も求められるのか!?

2年生でよく出てくる角度を絶妙にチョイスしているのはさておき、三角形の辺の長さが分かってればもちろん求められますね。

また、この方法は物理の問題(力の分解等、力学全般)を解く時にも利用できるので、覚えておいて損はないどころか得だらけです。

普段は表でいいですが、たまにこちらの方法も試してみるといいかもしれませんね。

 

余談(円と三角比)

ここからは余談ですので軽く聞き流して欲しいのですが、円と三角比を使った、少し生活で使えるテクニックを紹介しましょう。

……日常の場面と数学の関係を示すことで生徒の興味関心を引くとともに学びに向かう力の育成を狙っているのでしょうか。先生も大変ですね。

はなこさんのお口には文部科学省が住みついていそうですがそれは置いておいて、非常に図星ですね。

是非とも生徒の皆さんには自発的な学習に励んでいただきたいものです。

それより、はなこさんはケーキを三等分できたら便利だとは思いませんか

実は、今回学んだ三角比を使えば、ホールケーキを割と綺麗に3等分できるんです。その方法を紹介しましょう。

  

はじめに、ホールケーキの半径を2だとして、半径の半分のところから真上に線を伸ばすと直角三角形ができます。

三角比を知っていれば、この時の三角形の角度が分かります。

そして60°ということは、その隣の角度は120°になりますよね。

120°が作れたので、これでホールケーキを三等分できそうです。

分かってしまえば切る手順は簡単です。

①ケーキの中央まで切る。

②切った線の延長を考えて、切れていない反対側の真ん中から垂直にナイフを構えてケーキの縁に印をつける。

③印からケーキの中央まで切る。

④同じ手順を逆側で行う

これだけです。普通に実用性のある三角比の使い方ですね。

……確かにこれなら専用の道具がなくても上手に切れそうです。
今の話を話さなかったことにして、理数探究の題材にしてもいいですか。

意識が高いのか低いのか判断しかねる発言ですね。使っていいと思いますよ。

3等分以外にも5等分や7等分など、2の累乗の数(2、4、8、16……)以外の分け方は題材になりそうですね。

話が逸れてしまいましたが、まとめに入りましょう。

本日のまとめ

①三角比は表で覚えるのもいいけど、三角定規と筆記体での覚え方も重要。

②三角比が使えればケーキを3等分できる。

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