〜ある日の授業〜
はぁ……
俺って馬鹿だったのかな……
どうしたんですか、たろうさん?
ため息をついては幸せが逃げてしまいますよ。
おいおい、聞いてくれよティーチャー!
こいつが傑作でよ!
普段のテスト……ノーノー、エグザムで高得点を取る俺が、適性検査だと手も足もでないのさ!
まるでサラミのないピッツァを食わされた気分だね!
アメリカかぶれな言い回しになったことや大学受験レベルの英単語を使い始めたことはさておき、適性検査ですか。
適性検査とは、中学受験で用いられるテストのことですよね。
たろうさんは適性検査の問題が解けなかったことで自信をなくしているようですが、元気を出してください。
適性検査と、学校のテストは別物なのですから、最初のうちは手も足もでないのは普通のことですよ。
えっ!? そうだったの!?
じゃあ俺は相変わらず天才のままじゃん!
早速、適性検査の問題を解くコツとか教えてくれよ先生!!!!
過度な自信はあまりよくないように思えますが、落ち込むよりはいいですね。
それでは今日は適性検査の問題を解くコツを紹介しましょう。
・その1として国語・社会・理科
・その2として算数の解説をしていきますね。
記述式の問題のコツ(国・社・理)
適性検査の問題パターンを大きく2分するならば、国・社・理の記述問題と、算数の計算問題に分けられるでしょう。
適性検査のほとんどは記述問題ですので、まずはこれに慣れることが合格への第一歩です。
聞かれたことに正しく答える
適性検査と通常の学校のテストの最も大きな違いは「問題の出題方法」です。
単に難しいから解けない、というわけではないのです。
むしろ、必要な知識量で言えば、学校のテストの方が上ですので、そう言った意味では学校のテストの方が『難しい』と言えるかもしれません。
「鎌倉幕府が成立した年を答えよ」(知識を問う問題)
「アルコールランプを消すための正しい手順を答えよ」(知識を問う問題)
「下線部1『もういい』とたけしさんが言った理由として正しいものを次のア〜エの中から選べ」(文章読解問題)
「図1と図2から、日本の漁業の変化について説明せよ」(図表読み取り問題)
「理香さんの実験方法には誤りがある。それについて具体的に説明せよ」(指摘問題)
「文章中で述べられている『ハレ』と『ケ』について説明し、あなたの身の回りにある『ハレ』について350字から400字で具体的に書きなさい」(作文問題)
このように、学校のテストと適性検査では出題される問題の形式がかなり異なっていることがわかるかと思います。
そこで、適性検査の記述問題を攻略するためにはまずはこの出題方法に慣れる必要があります。
慣れると言っても、ただ闇雲に問題を解けということではありません。
きちんと適性検査に合った答え方をしましょうということです。
その答え方の基本となるのが、「聞かれたことに正しく答える」ということなのです。
そしてそのためには、『何を使って』『何を』『どのように』答えるのかを把握することが重要になってきます。
具体例を絡めて、説明をしていきます。
具体例1
上で挙げた「図1と図2から、日本の漁業の変化について説明せよ」という問題を使いましょう。
今回は資料(図1、2)を用意していませんが、問題を見た段階で「何を使って」「何を」「どのように」答えればいいのかがわかります。
上の図を見てもらえれば、この問題は
「図1と2に書かれている情報を使い、日本の漁業の変化について、『過去は〇〇だったが今は〇〇』の形で書けばいい」
わけですよね。一気に答えやすくなったはずです。
そして、この記事を読んでいる方は、小学生を子に持つ保護者の方だと想定して書きますが
・図1と2で書かれていない情報を使う➡︎減点ないし不正解
となるのはすごく納得のいく話ですし、当たり前だと同意を得られるものであると思います。
しかし、この手の問題に慣れていない小学生は、平然と知っている知識を使って答えようとするのです。
特に、理科と社会は『知識を使って解く教科』という認識が強いですからそこの意識を変えていきましょう。
具体例2
上で挙げた『理香さんの実験方法には誤りがある。それについて具体的に説明せよ』を使いましょう。
この問題でも、問題文からおおよその答え方が分かります。
この出題方法では、知識が必要とされる問題でした。
この場合、きちんと知っている知識を使って誤りを指摘する必要があります。
しかし、
・〇〇というように操作すればいい。
のように正しいことだけ(自分の持っている知識だけ)書いては減点ないし不正解となります。
やはり、聞かれたことに正しく答えることが重要なのです。
具体例3(作文)
適性検査の作文問題では出題方法がかなり定番化されているように思われます。
どのような出題方法かと言いますと、
・長文(物語のときもあれば説明文のときもある)の読み物が出され、
・『文中の用語などについての内容理解』+『自分の体験』について書かせる
という出題方法ですね。
適性検査の作文問題を初めて解く小学生でよくありがちなミスとしては、自分の気持ちや体験談で400字埋めてしまうというものがあります。
学校の作文問題では、『とりあえず規定の文字数まで埋めること』と『誤字脱字がないこと』に注意している生徒さんも多い印象なので、作文問題に対する勘違いがあるのかもしれないですね。
長くなりましたが、上の問題を使って図を作ります。
こう見てみると、作文問題も、社会や理科の記述問題とさほど違いはないように思えてきますね。
ただ、書く分量がやはり多いので、自分の中で書きやすい文章の構成を掴むためにも何度も挑戦する方がいいでしょう。
適性検査は学校で扱いません。
過去問等は購入したり、ネットで落ちているものもあるのでたくさん挑戦してまずは問題の答え方を身につけることが大切ですね。
「基礎知識がないから……」と後退する前に、問題にぶつかってみましょう。
おわりに
まあちょっとは解けそうな気分になったかもしれないな。
今後も俺を学びに向かわせるよう精進するように。
途方もなく偉そうな物言いですがそれはさておき、適性検査から逃げない姿勢はとてもいいですね。
適性検査の問題が解けないことから解くのが嫌になって、基礎知識を固めることから始める生徒は結構いるんですよ。
しかし、適性検査の問題は学校でやるものとかなり異なっており、知識が点数に直結しにくい。
結果として、実際の適性検査問題演習に取り掛かるのが遅くなり点数が伸びなかった、というのはありがちな話です。
じゃあ俺様はこのままでもいいってことだな!
一人称に「様」をつけてさらに偉そうになりましたがそれは置いておいて、逃げ腰になるより強気でいた方がいいですよ。
井の中の蛙にならずに、一歩飛び出して成長していきましょう。
それでは今日のまとめです。
《本日のまとめ》
・国語社会理科の記述問題では、聞かれたことに正しく答えることが重要。
・問題から『何を使って』『何を』『どのように』書けばいいのかを把握する。
・基礎知識の有無を気にせず、適性検査の問題をまずは解いてみよう。