前回までの授業はココ! この記事はこっちを読んでからにしましょう。
〜ある日の授業〜
おい、先生!
授業中に問題集解いてたら前回のやり方で解けない問題が出てきたぞ!
しっかり教えろよな!
どうしたんですかたろうさん、いつにも増して喧嘩腰ですね。
授業は内職せずに聞いてほしいところですがそれは置いておいて、解けない問題とはどういった問題でしたか?
《問題》
次の2次不等式を解け。
(1)x2−2x+1>0
(2)x2+4x+5<0
(1)は2次方程式を解くと解が1個しか出ないし、(2)なんて解がないんだよなぁ……
どうしてくれんのこれ。
そうですね。確かに(2)は解が出ないのでステップ1で止まってしまい、前に教えた方法では解けません。
お詫びに、その問題の解き方について解説しましょう。
ちなみに、(1)は解が1個でも出るので、前回の方法で解けますよ。出てきた式の解釈の仕方が重要なんです。
2次方程式の解が1個の場合の解き方
解が一つの場合でも、これまでと同じ方針で解き進めましょう。
上の例題(1)では、左辺の二次方程式を解くと「x=1」が解として出ますね。
不等号の向きに注意して、これを答えの形に当てはめると
このようになります。
そして、この式の解釈の仕方が重要なのです。
上の式では、「1より小さい、または1より大きい」という日本語で解釈できます。
つまり、「1以外のすべての実数」が答えとなります。
どうして「1以外のすべての数」ではダメで「実数」と付けなければならないのかについてですが、実は「数」は大きく分けて「実数」と「虚数」というものに分類されます。(2年生くらいでやります)
そして「虚数」というのは不思議な数で大きさを比べられないのです。
なので、不等式を扱う以上、大小関係の定まる「実数」だけを扱う必要があるため、「〇〇以外のすべての実数」という言い方になっているのです。
この先では、解が1個だけ出てきたときの色々なパターンについて書いておきましょう。
不等式の形と、その解答方法一覧
①不等式の形
解答方法⇨「1以外のすべての実数」
②不等式の形
解答方法⇨「すべての実数」(1以上または、1以下の数なのですべての実数になります)
③不等式の形
解答方法⇨「解はない」(1より大きくて1より小さい数は存在しないので解なしになります)
④不等式の形
解答方法⇨「x = 1」(1以上で1以下の数として、1だけが当てはまります)
2次方程式の解がない場合の解き方
2次方程式の解がない場合、これまでの方法は使えません。
2次不等式を解き始める際に、最初にx2の係数はプラスになるようにしていたので、左辺を二次関数として見ると下に凸なグラフになることが納得できるかと思います。
そして、「解がない」とはグラフがx軸と交点を持たないということです。
したがって、グラフとx軸との関係は下の図のようになっています。
そして、不等号の向きから「0より大きい」「0より小さい」ときのゾーンは次の図のようになります。
下に凸なグラフがx軸と交点を持たないとき、グラフ上の点はすべて『>0』のゾーンに入っているということになりますね。
つまり、すべての実数で『>0』が成り立っていることになります。
したがって、2次方程式の解がない場合、不等号の向きによって答え方が変わります。
二次方程式の解がないときの答え方
- 『>0』⇨「すべての実数」
- 『<0』⇨「解はない」
最初に紹介していた問題(2)x2+4x+5<0 を例にすると、
この問題では「左辺が解なし」で、「『<0』の形」になっているので、答えは「解はない」になります。
おわりに
オッケーオッケー!
これなら問題がサルヴできるぜ! 先生サンキュー!
なぜカタカナ言葉なのかは置いておいて、理解できたようで何よりです。
二次不等式はこれから解くことも多いので、早いうちにできるようにしておくと今後の学習に繋がりますよ。
それでは本日のまとめです。
本日のまとめ
《2次不等式の解き方・その2》
◯2次方程式の解が1個のとき
「x<a,a<x」⇨「a以外のすべての実数」
「x≦a,a≦x」⇨「すべての実数」
「a<x<a」⇨「解はない」
「a≦x≦a」⇨「x=a」
◯2次方程式の解がないとき
「2次式>0」⇨「すべての実数」
「2次式<0」⇨「解はない」
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